正夢
SPITZ 30th ANNIVERSARY TOUR
“THIRTY30FIFTY50”
8/19 日本武道館
行ってきた!もうライブレポなんて何年も書いていなかったけど、今回ばかりは特別な気持ちが止まらないので、文章として残しておこうと思う。
わたしがスピッツと出会ったのは、確か小学4年生ぐらいの頃。親が買ってきた「空の飛び方」を聴いて、なんて格好いいんだろうと思った記憶がある。なのでかれこれ、20年以上のファン歴ということになるんだ…これは古参と言っていいのでは…。
で、今回の武道館公演。スピッツのライブに行くのは去年の新木場サンセット以来。古参とか言っておきながらファンクラブに入っていないので、どうせ当選しないだろうと思いながらダメ元で先行抽選したら、奇跡の当選!さすがに武道館3days+横アリ2daysは関東ファンに優しい。ありがてえ~~。
ところが当選したことに満足して、発券をせず。他のライブでもそうなんだけど、わたしは席や整理番号なんてどこでもよくて、入れればいいと思ってる。同じ空間で音楽が聴ければよし。結局ライブ当日まで発券していなくて、武道館へ向かう途中で慌てて発券することに。
いざ発券してみると、なんと!
その券面には「アリーナ1列」の文字が…!!!
いつも通り特に座席番号を見もせずしまおうとしたところで、「えっ?1列?」って二度見した。でもどう見てもアリーナ1列って書いてある。アリーナ1列って、わたしが知っている限りでは最前列です。前を隔てるものが何もない、選ばれし者しか座れないあそこです。一気に汗が止まらなくなり、とっさに思ったのは「こんなものを持っていたら速攻で狙撃されてチケットを奪われるのではないか」という不安…(24の見過ぎ)
アリーナ1列…??????
— さりー (@SallySally16g) 2017年8月19日
アリーナの1列…?????!??????
アリーナ1列……失神してしまう……
— さりー (@SallySally16g) 2017年8月19日
とはいえ無事に会場に到着することができ、物販も並ばず購入完了。Tシャツと、最前できっと号泣してしまうだろうから…ということでマフラータオル。それからライブの演出に参加できるよ!と書いてあったので光るピンバッジも購入。やっぱり光る系のグッズは持っておいた方がいいよ!ライブに参加してる感がぐっと増すから!これは嵐やラルクの東京ドーム公演で学んだこと。
着席してみると、やっぱり嘘でもドッキリでもなく上手側の最前列…。ステージ袖の花道っぽくなっているところの目の前。まじでステージまで数mしかない。もうね、始まる前から吐き気がするし、おなか痛くなるし「ひえ~~~~」みたいな鳴き声をあげてしまうよ。しかもこの日風邪をひいていて、薬で若干朦朧としていたのが本当に悔しかった!万全の状態で全て1mmも逃さずに受け止めたかったのに!
開演直前にヴィンテージロック若林さんから挨拶。
スピッツの東京でのワンマンライブは、メジャーデビューしてからこの日が88本目だそう。はちじゅうはち!とんでもねえな!若林さんはsyrup16gでも(一方的に)お世話になっているので感謝の気持ちでいっぱいです。武道館3日間も確保してくれてありがとうございます。土曜日にしてくれてありがとうございます。
開演してからの約3時間は、夢のような時間だった。あの瞬間世界で一番優しい空間は間違いなく武道館にあった。
目の前数メートルしか離れていないところから、金色のキラキラした粒子が全身に降りかかってくるような感覚。
という感じの稚拙な表現しかできない自分が情けない。筆舌に尽くしがたいライブだった。これまでもいろんなアーティストで、いろんなステージを見てきたのに。この日は本当に心から「このままこの状態でスピッツの全曲を演奏してほしい、何時間かかってもいいから」という無茶なことまで願ってしまった。
だって武道館というでっかいステージなのに、距離感がスタジオコーストなんです。ステージ上にはいくつものLEDビジョンが並んでいて、メンバーが代わる代わる映し出されていたんだけど最早近すぎてその映像が正面からだとどうなっているのかよく分からない。(1枚のビジョンに目のアップ、別のビジョンに口元のアップ、みたいなカメラ割があったように思う)それより目視でメンバーの表情・手の動き・エフェクターを踏む足が見える。
この目でマサムネさんの瞬きを見てしまったんだ…代償に失明したりしないかな…美しかったな…。きっとこの先あの距離でスピッツのライブを観ることなんてできないんだろうなと思うと、あと目を4組ぐらい欲しかったですね。
セトリはスピッツの代表曲ばかり、というかスピッツって代表曲いくつあるの???というのを再認識させられる構成。「これ聴きたかった!」の応酬。イントロ始まるたびに背筋ピンと伸びちゃう。特に個人的ハイライトは「楓」~「夜を駆ける」の流れが切なさゲージ振り切って爆発するかと思った。どちらもわたしのスピッツランキング10以内間違いなしの曲で、しかも続けてやるっていうのがもう反則。思い出しても泣きそう。
楓の最後のサビ前、「さよなら 君の声を抱いて歩いて行く ああ僕のままで どこまで届くだろう」のとこだけピンスポでマサムネさんだけの弾き語りアレンジになってて、それがもう本当に切なくてこのまま消えちゃうんじゃないかと思った
— さりー (@SallySally16g) 2017年8月19日
「夜を駆ける」は勝手に真夜中の公園で戯れる少年と少女を思い浮かべてしまう曲なのだけど、その脳内PVとぴったり一致する色彩が照明で表現されていて嬉しかった。濃い闇に浮かび上がる白い光。早くライブDVD出て欲しいなあ。何度でも繰り返して見たい。
マサムネさんは「俺のすべて」の時だけ、上手の花道の方まで歩いてきてくれた。あのタンバリンを振りながら、淡々とした表情で。おそらく彼は、歩きながらどこを見たらいいのか定まっていないんだと思う。目の前の客席…の少し上のあたりに目線を漂わせながら、過剰に笑ったり手を振ったりすることもなく、涼やかに歌っていた。わたしとの距離3メートル(推定)。つらい。こんなに近づいてしまうなんてつらい。その瞬間は何もかもが吹き飛んで、ただただ手を振ることしかできなかった。とんでもない数秒間だった。
わたしはこの数日前に、恋人と一緒に箱根日帰り旅行に行っていた。黒毛和牛のステーキランチを食べて日帰り温泉に入るというシンプルなコース。去年も同じお店に一緒に行っていて、またふたりでそこへ行けたことがとても嬉しかった。そこでわたしは「今が人生で一番幸せな時だと思う」と恋人に話したら、彼は「そんなこと考えたこともなかった。まだまだ人生折り返してもいないんだから、これから色々あるよ」と言った。
キラキラ光って見えるステージを見ながら、わたしはふとその言葉を思い出していた。
やっぱり、今が一番最高!と思ったのだ。
ずっと片思いしていた人と付き合うことができて、好きなことを仕事にして、生活していけるだけのお金を自分で稼いで、大好きなアーティストのライブを最前列で見ている。これ以上のことってあるんだろうか?これ人生のピークなんじゃないか?
ライブの最中はそれってすごく幸せ、って思ったんだけど、今こうして文章にしてみるとやばいなこれ。もうこれ以上はないのかと思ったら悲しくなってきた。
これから先いいこときっと、色々あるよね。
まだまだ何回でもスピッツのライブに行きたいし、やりたいことだってある。マサムネさんは「30周年ですが、通過点だと思ってます」と言ってくれた。これほど安心して活動を見守れるバンドもなかなかいないよね。メンバーが脱退したり急に増えたりすることもなく、コンスタントに素晴らしい曲を作り出していける稀有なバンド。(わたし「ヘビーメロウ」がとても好きなんです。30年やってて未だにあんないい曲を書けるなんて奇跡でしかないと思う)願わくば、わたしが50歳になっても活動してくれていたらなーなんて。
本当にあっという間に終演。「正夢」で大量に降り注いだ紙吹雪をしっかりリュックにしまって、ふわふわしたまま家に帰った。
インスタを見たら、今回同行した10歳年下の妹が「スピッツを聴きまくっていた中学生の頃を思い出した」とのコメントと共に武道館の写真をアップしていて、ちょっと笑った。そうか、10歳下の子でも、中学の思い出はスピッツに彩られているんだ。
改めてとんでもねえな!